サークルの合宿中、
「ねえ、肉便器って何?」
サークルの後輩が屈託のない表情で、急に聞いてきた。
「さっき、前田先輩に言われたんですけど、意味が分からなくて」
前田の奴、変なこと吹き込みやがって。
「お肉で出来たトイレのことですか?レディガガとか使ってそうですね」
うまいことを言う。
確かにレディガガならある意味自分専用の肉便器も持っていそうだ。
あとは叶姉妹とか。
ま、肉便器の逆バージョンだな。
「確かに、お肉でできたっていうのはあながち間違いではないな。
この話を説明すると長くなるのだが、聞いてくれるか?」
女の子に話したくないからそう言ったのだが、彼女は
「長くてもいいですよ」
と言ってきた。
これには困った。
仕方なく話を続けることに。
「肉便器というのは、古くは古代中国の漢の時代、初代皇帝劉邦の奥さんが」
という歴史の話から始めてしまった。
ただ、肝心の部分はさすがに抵抗があり、「ここでは話せない。
ちょっと隣の部屋に来てくれるか」
と言って後輩を連れ出した。
さすがにみんながいる場所では無理だ。
「君が知りたいって言ったんだからね」
と念押しして、パソコンを開いて「肉便器」と検索した。
そこに表示された画像・文字に彼女は絶句したようだ。
そりゃそうだろう。
こんなもん見せてるおれは一歩間違ったらセクハラだ。
「ま、そういうことだ。
肉便器ってのは。
なのであまり人前では言わないように」
こちらまで恥ずかしくなってきた。
彼女は部屋を出る前に
「わたし、先輩の肉便器にならなってもいいですよ」
とぽろっと言った。
おいおい。